四章

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「嫌?」 返事をするのを少し待った。しかし嫌悪感を示すものは現れなかった。 「……いいえ」 華生の返事を聞くと間もなく、鑑田は華生の腰に手を回した。華生は一瞬身体を固くしたが、鑑田の真剣な瞳を見るとおずおずと力を抜き、その身を委ねる。 「いい?」 鑑田の端正な顔が近づいて来た。華生はキスをされることを察する。 ……大丈夫。 華生が長い睫毛の上と下を合わせると、唇に柔らかい器官が触れた。 五秒間くらい、そのまま待っていると、鑑田の唇がそっと離れ華生のまぶたも開く。 放心状態の華生の身体を自分の方に強く引き寄せ、鑑田は耳元で囁いた。
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