五章

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華生と鑑田は最近流行っている無難な恋愛映画を観た後、近くにあったカフェテリアに入った。軽快なピアノのジャズが心地よい。 「けっこう面白かったね」 カフェオレを持ってきたウエイトレスにお礼を言ったと思ったら、早速鑑田が話掛けてきた。 「はい。……なんか、微笑ましかったですよね」 鑑田は華生の言葉にぷっと吹き出す。 「微笑ましいって……達観してるなぁ」 「みんな自分の気持ちをあんなに素直に伝えられて、すごいなぁって思ったんです」 鑑田の顔から笑みが消えると、華生は思わず手に持っていたココアのカップをこぼしかけた。 「あっ! な、何か、いっいけないことを、言いましたか!?」 鑑田はゆっくりと口の端を上げる。 「……いいや。全然話変わるけどさ、一彬お兄さんってまだ独身だったよね。いい人いないの? モテるだろうあの人は」
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