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鑑田はさっき開いた口が塞がらない。
「そんな……向こうは嶋木社長が既婚者だって知らなかったの?」
「いえ、おそらく嶋木の方から持ち出したんだと思います。何度か、援助を受けたそうですから」
「娘の嫁いだ会社が倒産しかかれば、助け船を出さざるを得ないから?」
「……お父様の考えは私には量りかねますが」
「今、一彬お兄さんのお母様は?」
華生は目を伏せて首を横に振る。
「慰謝料という名の生活費は送られてるみたいですけど、兄様はそれをおっしゃらないから。でも、今彼女が幸せかどうかは私にはわかりません」
鑑田が歯噛みした。
「……それは一彬お兄さんはお父様を許せないだろうね。なんせ会社の都合で自分のお母様を棄てられたんだ」
その時、華生がふっと顔を上げる。
「……一彬兄様はそんなこと思いませんよ」
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