五章

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 藍色の空に白い満月が昇る頃、鑑田は華生を嶋木の家まで送り届けた。 「今日は本当にありがとうございました。楽しかったです」  華生が丁寧に頭を下げて優しく微笑むと、彼の声は弾んだ笑声になる。 「こちらこそ、また行こうね」 「はいぜひ。ではまた」 「あ、待って華生さん」  助手席のドアに手を掛けた華生は鑑田に呼び止められる。 「え」  伸びた鑑田の手が華生の腕を掴み引き寄せると、互いの顔が今日一番に近づいた。 ——あぁ、キスをするんだ。  華生が目を閉じると、鑑田の唇がそっと彼女の唇を覆う。二秒くらいして目を開けると、暗がりの中で笑う彼がいた。多分顔は少し紅いんだろう。 「……じゃあね、華生さん」  照れ隠しのように、彼が華生の肩を押し出す。流石にそのまま家に入るわけにもいかず車が出るのを待っていると、小さく手を振ってくれたのでそのまま一礼して見送った。
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