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数日後、華生が学校から戻り「ただいま帰りました」と声を掛けると、わざわざスーツの成親が長男そっくりのいかめしい顔を出してくる。
「ちょうど良かった。華生嬢、お客様だ」
「私にですか……?」
華生は制服にカバンを抱えたままリビングに向かった。
「お邪魔してるよ、華生ちゃん」
華生は自分の足の上に教科書が沢山入ったカバンを落としたが気づきやしなかった。眼前の客人に言えた言葉は、やっと一言。
「……何故」
「あら嫌だ華生さん、驚いたからって失礼よ」
朗らかな笑みを浮かべた瑛子が華生を軽く窘める。状況をまるで把握していない。
「いいんですよ、奥様。私が突然お邪魔したのですから」
埃一つないスーツ、整髪料で整えられた黒髪、柔和な口元に僅かに覗く笑い皺、そして温厚さを匂わせるのんびりした声は誰が小学生の姪を妾にしようとした男と思うだろうか。
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