五章

39/45
前へ
/264ページ
次へ
似てるとは思っていた。だけどお父様は一彬兄様に輪を掛けて表情も口数も乏しい。血が通ってないんだとも思っていたけれど、よくよく考えれば一彬兄様みたいな優しい人の父親が、冷たい人の筈がなかった。 やっと絞り出した華生の声は涙が混じる。 「私の目は節穴ですね……」 「そんなことないわ。本当に男の人って駄目ねぇ」 「いけない、濡らすと勝手に開けたのがバレちゃうわ」と笑いながら、瑛子はアルバムを閉じて元通りにしまい込んだ。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1328人が本棚に入れています
本棚に追加