五章

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それから長い間、華生と瑛子の間に会話はなかった。華生は椅子に座ってただ俯いており、瑛子は読書をしながらチラチラ華生の様子を覗いていた。 ガチャとドアが開く音に華生が肩を跳ねさせる。 重々しい顔の成親が、世津子を連れて戻ってきた。世津子は困惑顔で黙りこくっている。 「もう、あの人は帰った。瑛子、話がある。華生嬢、すまないが席を外してくれるか」 「私と一緒にいましょう、華生さん」 華生は世津子の側に寄った後、くるりと成親に向き直った。 「あ、はい。あの、お父様……ありがとうございます」 華生がぺこりと頭を下げると、成親は目線を下に落とす。 「……礼などいいから行きなさい」
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