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玄関が閉まる音を聞いたのを合図に、成親が深いため息を吐き出した。
「……どうする。あいつ鑑田社長の気に入りだったな。こっちの意思は汲んではくれんぞ」
訴訟になりでもしたら敗北は確実な上、嶋木と鑑田の関係は悪化する。一彬は頭をもたげて言った。
「鑑田社長とより親密な者を味方につければ……最悪は回避できるだろう?」
「今から鑑田社長の身辺を洗うのか?」
一彬の声は力無く客間に響く。
「……洗わなくても居るじゃないか」
「……あぁ……」
成親が線の細い好青年の顔を思い出す頃には、すでに一彬は電話を耳に当てていた。
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