六章

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数秒後、身構えた鑑田の声が聞こえる。 「……はい、鑑田です」 「嶋木だ。今話せるか」 いつもと同じ一彬の少し威圧的な声に、鑑田は口調を少し和らげた。 「その声、一彬お兄さんですね? どうしたんですか?」 一彬は直球を投げる。 「要件だけ伝える。電話を切ったら直ちに、お前の親父に『今すぐ華生と結婚したい』と説得しろ。手段は選ぶな」 鑑田の声に戸惑いの色が覗いた。 「何を言ってるんですか? 俺も華生さんも、まだ学生ですよ?」 「華生は18、アンタは21、法的には可能だろう」
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