六章

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結婚が決まってからというもの、華生は周りの反応に随分と振り回された。 月曜、朝のホームルームで担任に呼び出され事情を説明する。昼休み、放送で呼び出され学年主任にも事情を説明する。放課後はついに校長室に呼ばれ成親と並んで説明をする羽目になった。 「せめて高校卒業を待ってからの方がいいのではないですか?」と三回とも言われ、三回とも「もう決めたことですから」で押し切った。 進学させることはとうに諦められていたが、学生結婚に関しては前例がない。口には出されなかったが、結婚どころか卒業後は進学が当然視されている華生の学校側には、頭がおかしいのではないかという目で見られた。 成親は成親で「校則には『学生結婚は不可』とは明記されていませんが何かそちらさんにご迷惑を掛けるんですかな?」と言い放ち校長達を震撼させた。 しかし校長室を出た後には、ボソリと「生徒の将来を案ずる気概はあるんだな」と小さな声で呟いていた。
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