六章

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「それは、高校入学の時に俺がやったやつか」  一彬が尋ねると、華生ははにかみながら少しスカートの裾を摘む。 「はい、特別な日に着るようにしているんです」 「嶋木華生としての、最後の日ということか?」  その返答には間があった。 「それもあります」  一彬がわずかに息を飲む。ドアを閉めてそのままだった華生が彼の正面に位置どった。 「……お話があって来ました」  一彬が読んでいた本を机の上に置く。 「……聞こう」  無言で一礼した華生は、淡々と話し始めた。
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