六章

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嶋木家のインターホンが不機嫌な音を鳴らす。 「まだ七時過ぎなのに非常識じゃない?」 まだ寝間着のままの瑛子が怪訝な顔をした。 「……兄さんの客じゃないか?」 寝ぐせがついたままの弘海が目配せをする。 「……そうだろうな」 ワイシャツにセーターを着た一彬が、煙草を火を消して玄関に向かう。案の定、何も知らずに扉を開けた世津子が恐れおののいていた。 「足利(あしかが)、俺が対応するからあっちに行ってなさい」 一彬が進み出ると、世津子は逃げるように去って行く。
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