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周囲がうっとりとしたため息を漏らす。等の夫人も「まぁ……」とほおを染めていた。
「落ち着いた方だとお見受けしましたけど……内に大きな情熱を秘めていらっしゃるのね。切ないけれど、貴方に陰でこんなにも愛されてるその女性はとても幸せですね」
突然、華生が席を立ち上がる。彼女は下を向いて震えていた。
「……失礼します。少々、席を空けますね」
「気分が悪いの?」
義母が心配そうに華生を見つめる。その優しい目線は、今だけは遠慮したかった。
「御心配なさらないで。お化粧室に行くだけですから」
椅子を元に戻して早歩きで会場を離れる。化粧室までの道のりは長かった。ようやくたどり着いて、個室に入り扉にもたれかかる。
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