八章

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 帰ったらすぐ、柊聖さんに無事だって伝えなきゃ……  華生は一息ついてスマートフォンを取り出そうとして、道路の藻屑となったのを思い出してため息をつく。  ……柊聖さんはともかく、お義父さんとお義母さんに何て言おう? こんなぼろぼろの格好で帰って来たのを見たら心配を通り越して警察を呼ばれそう。  そうしたら、笹野さんは逮捕されてしまう。おそらく、笹野さんだけ。  華生は笹野の娘の潤んだ瞳を思い出す。  ……笹野さんが悪くない訳ではないけど、私だってあの子から何もかも奪って平気ではいられない。
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