八章

20/41

1327人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
鑑田の車の助手席に座る華生は、座席シートに深く身体を沈めた。 「本当に……なんて御礼を言っていいか……」 鑑田は照れ臭そうにハンドルを握る。 「夫は妻を守る為ならどんな手段でも取るものだよ……たとえ人道に外れたとしても」 彼の横顔は真剣だった。華生は少し身震いをする。 本当に頼もしい夫……ほんの少し怖いくらいに。 華生は時計を覗いて謝罪する。もう21時を回っていた。 「せっかくのお食事ができなくてごめんなさい。お義父様たち、楽しみにしてたでしょう?」 「いいよ、食事なんていつでもできるし。それより華生さん……行きたい所があるんだ」 「はい……?」 こんな時分にどこに行くのか、華生は首を捻る。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1327人が本棚に入れています
本棚に追加