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笹野と通話を終えた一彬が、鑑田に状況を説明する。
「華生はやっぱり、途中で車を降りて逃げて行ったらしい。鞄も靴も車に残しているから、実質タクシーで自宅まで乗って帰るしか帰る手段がない。それを野木に伝えると、あいつはタクシーを買収すると言ったらしい」
「野木の自宅まで連れて帰る気でしょうか?」
「いや、家庭持ちだからその辺のホテルで犯してしまう算段だろう。おそらく、華生が脱走するのは計算外だから近場のホテルの予約はしていない」
「片っ端からホテルの部屋を差し押さえましょうか」
「それがいい。一件、離れた所にラブホテルがあるな。通常予約を受け付けていないから最終的にここを選ぶんじゃないか?」
「そうですね。一部屋だけ選べるようにして、野木を誘い込みましょう」
「笹野が華生の荷物を持ってくる。そのホテルに向かってくれ」
一彬は、鑑田のスマートフォンを片手に、上から順にホテルに電話をし始めた。
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