八章

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一彬が、一度深いため息をつく。 「……一応、一通り差し押さえた」 「ありがとうございます。さすがの交渉術ですね」 「領収書を鑑田宛にしたからな。何かの手配ミスだと思ってくれただろう。アンタが華生の夫で助かった」 鑑田が苦笑混じりに反論した。 「差し押さえておいて誰も泊まりに来ないんだから怪しまれるじゃないですか」 「後のことは知らん。取り敢えず野木がホテルを使えないようにできれば何の問題もない」 「けっこう豪胆ですよね、貴方は」 ロードサイドにピンクの派手な看板が見えてくる。少し先のこっそりした入り口をくぐると、駐車場にはもう笹野の車が待機していた。
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