八章

37/41

1327人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
 兄様の手が、熱い。  華生は自分の身体を這う手を味わいながら喘ぐ。  これ以上ないくらい触れられてるのに、もっと触れて欲しい。 「あっ……やっ……やぁっ……」 「……!」  一彬はしんなりと絡みついてくる華生の手に驚く。その馴れた手つきは、一年前とはまるで違っていた。 相当、抱かれて来たな。 結婚生活をしていたんだから当たり前だが、複雑な気持ちにならない訳ではない。 これほど大切にしていた女を、本当によく返してくれたものだ。 ほんのついさっきまで彼女の夫だった男を思いながらも、一彬は欲望のままに彼女の唇を吸う。  少しして、彼女に異変があった。 「?」  華生の手がすーっと一彬の身体の下の方に下りていき、ちょうど彼の男の部分でピタリと止まった。彼女はそれをソロソロと撫で始める。  最初は随分上手く触るものだと思っていたが、そこに顔を近づけてくる彼女を見るとつい声が出た。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1327人が本棚に入れています
本棚に追加