浄夜の月は朧

八章

　朝日が完全に昇った頃、成親と瑛子が朝食が載ったテーブルに座る。

「華生さん、無事だったとは聞いたけど、本当に大丈夫かしら。とてもご飯なんか食べてる気分じゃないわ」

「一彬が落ち着いてるんだから大丈夫だろう。無事じゃなかったら今頃人一人くらい殺していても不思議じゃない」

目の前の食事を置いたまま暗い顔をしている瑛子をよそに、成親は素気無い返答をしながら黙々と食事を始める。

瑛子が半分軽蔑の視線で夫を睨みながらフォークを手に取ると、スラックスにワイシャツだけ着た一彬が居間に入ってきた。