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翌朝、華生は真っ青な顔で朝食に向かう。食欲なんか無かったが、用意してあるものをいらないとは言えない。
「あら、おはよう華生さん」
瑛子だ。ゆったりしたワンピースの部屋着に薄い肩掛けをしているのを見る限り出掛ける予定はないらしいが、化粧はきちんとしている。
「おはようございますお母様」
瑛子は可愛らしい居候に向かってにっこりと微笑んだ。
「ご機嫌いかがかしら。ねぇ華生さん。風恒には昨日会った?」
華生の顔が凍る。
「風恒兄様? 会ってません」
昨日のことは忘れたことにした。思い出したら吐いてしまいそうだ。
「そう、あの子私にも顔を見せてくれなくて……そろそろ反抗期も終わって欲しいのだけど……」
哀しそうに下を向く瑛子を見て華生は唇を噛む。彼は彼女が腹を痛めて産んだ息子なのだ。
「昔から、ちょっと不器用なのよね。一彬さんや弘海より。兄さんなんて気にしなくて良いのに、という訳にはいかないのかしら」
「不器用」という言葉が華生の頭に引っ掛かりを残す。確かに彼は昔から短気ではあったが、高校受験に失敗してから一気に素行が悪くなった気がする。
「まぁ……プライドとかはあるのかも、しれませんね……」
だから義妹に何をしてもいい訳ではない。しかし優しい義母に彼女の息子の悪行を告白できる程、華生は真っ直ぐではなかった。
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