三章

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鑑田の声がオセロの如く裏返った。 「華生さんのお兄さん!?」 「3番目の兄なんだ」 俄かには信じ難いが、確かに目元とスッと通る鼻筋は華生の隣に座っていた一彬と似ている。鑑田はそれでもまじまじと見つめながら呟いた。 「へぇ、華生さんもお兄さんも言わなかったから分からなかった……」 「まぁ、俺は確かに行儀が良い方じゃねぇからな」 「まぁ、ははは」 顔に金属ばかり付いている彼を前にして、鑑田も何をどう返答すべきかわからない。 「華生はどうだった?」 「可愛らしい人だったね」  鑑田は少しほおを染めた。 「気に入ったのか……よかった」  風恒は薄い笑いを浮かべたままパーカーのポケットをまさぐった。 「これは……?」  鑑田は差し出された名刺を見て目をぱちくりさせる。
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