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二人並んで周りに小石が敷かれた玄関先の道を進み、鑑田が檜の扉を横に開くと、鴇色の着物を着た仲居が三つ指をついて待っていた。
「いらっしゃいませ。この度はお越しいただき誠に有難う御座います」
「どうも、予約していた鑑田です」
鑑田が気さくに挨拶をすると、仲居も品の良い微笑を返す。
「お待ちしておりました。それではお部屋にご案内致します」
履き物を仲居に預け磨き上げられた廊下を歩いていると、他の仲居達の視線を強く感じた。「鑑田」なんてただでさえ珍しい苗字だ。大会社の令息だということはとっくに承知らしい。
「こちらです」
奥の座敷を案内され、開けられた襖の奥に入ろうとした瞬間、事件が起こる。
「あれ、野木さんじゃない?」
華生の動きがぴたと止まった。一縷の望みを懸けて辺りを見回すも、他の客は見当たらない。
「野木さんでしょ? 俺のこと覚えてる? 小学校以来だから忘れちゃったかな」
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