1332人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃっ!」
突然近付いてきた風恒が華生の腕を掴んで乱暴に引き倒した。そして床で受け身を取った彼女の上に躊躇なく馬乗りになる。
見上げた風恒の顔は能面のようだった。彼の下になった華生の声が上擦る。
「な、何をする気なんです?」
「……お前はいつも一彬兄様一彬兄様だな」
華生はカッとなって吠えた。
「私は一彬兄様と契約をしているんです!」
風恒は皮肉に口元を持ち上げながら、華生のほおを手でなぞる。
「お前大した女だよな。妹気取りで兄様兄様と一彬兄貴にひっついて」
強かだと言いたいらしい。華生はムキになって言い返した。
「一彬兄様は七年前路頭に迷っていた私を助けてくれたんです! 妹のように慕って何が悪いの!?」
悪びれる様子のない華生の態度に業を煮やしたらしい、ついに風恒は怒号をあげた。
「……同じ兄なのに俺を見ないその眼が気に入らない!」
風恒が華生のワンピースのボタンを引きちぎり、乱暴に胸を鷲掴みにする。華生が絹を裂くような悲鳴を上げるのも構わず、彼は華生の首筋に噛み付き、身体中をいやらしく撫でまわし始めた。
最初のコメントを投稿しよう!