三章

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「風恒……お前何をした!」 成親の問い掛けに風恒は答えない。意識を失っていた。 一彬は震え続ける華生を壊れ物を触るように横抱きにして持ち上げる。そのまま一度風恒を蹴飛ばした後、廊下に出る前で振り返り、成親に言い捨てた。 「……それを倉庫に閉じ込めておけ」 父親ですら文句の一つも言えない憤怒の形相だった。 長男が顎でしゃくった「それ」に対しては、父親の自分すら同情できないが。 成親は一彬の足音が已んだことを確認し、伸びきった三男の腕を肩に担ぐと倉庫へと向かった。
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