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一彬は片手で自室のドアノブを回すと、自分のベッドの上に華生を座らせた。
放心状態で自分の身体を抱き締めている彼女を見ると、クローゼットから自分のワイシャツを出し肩から掛けてやった。
薄い布の感覚に気付いた華生はおぼつかない指で一彬のワイシャツに袖を通し、ボタンを全て止めるとホッと息をつく。彼女が少し落ち着いたのを確認すると一彬はそっと問い掛けた。
「……間に合ったか?」
華生はコクコクと首肯く。一彬の口調はいつもに比べ人としての情が感じられた。
「怖い思いをしたろう」
精一杯のいたわりを表現した筈なのに、何故か華生は再びガタガタと震え始める。
「華生?」
「い……いや」
華生は夢中で一彬の腕に縋り付いた。
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