三章

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「……馬鹿が……」 一彬が華生の頼りない身体を抱き締めると、華生の震えが止まった。 「かずあき……にいさま……」 一彬の腕に強い力が篭る。 「契約したろう。七年前のあの日から、お前は俺の妹だ。それは絶対に、揺らぐことはない」 華生の瞳から熱い涙が溢れた。彼女は一彬のシャツを濡らしながら肩にしがみ付く。 「一彬兄様……!」 絶やさない。貴方と私の繋がりは、絶対に。 ……貴方の隣にいつか、いられなくなってしまっても。
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