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あの後? 自室に戻った後だろうかと、華生が首を捻る。
「聞いたよ。華生さんが義理の妹だって。お母さんが亡くなられて引き取られたみたいだね」
華生の顔が紙のように白くなった。
「はい……違いないです……ごめんなさい、黙ってて……」
もう、鑑田さんとは終わりだ。素性がばれた上に、昨日あんな失態を犯している。せめて、誠心誠意謝罪しようと華生が頭を下げた瞬間だった。
「あの店、もう一回行こうよ」
頭の上から降った言葉、聞き間違いをしたろうかと華生は聞き返す。
「……今何て?」
「ね、仕切り直しでもう一回あの店行こう? けっこう美味しかったよ。華生さんにも食べてもらいたい」
笑顔の鑑田に対して、逆に華生が説得を始めた。
「そんな……知ってるんですよね? 私なんかと鑑田さんじゃ、釣り合わないんです!」
「……華生さんみたいに美しい人に、俺は釣り合わない?」
困ったような顔で視線を落とした鑑田に、華生は慌てて弁解する。
「違います! 社長令嬢なんかじゃない上に身寄りのない私に、貴方の妻は務まらないと言っているんです!」
華生が一息で言い返した時、鑑田の声に険が混じった。
「貴女に身寄りのないことで、何故俺が困るの」
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