四章

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 翌日、ダークチャコールのスーツを着た一彬が、華生の女子高の談話室をノックする。どうぞと返事が聞こえて部屋に入ると、セーラー服の華生と担任が待っていた。 「あぁ、この度はお兄さん、お忙しい中よくいらしていただきました!」  担任が立ち上がって一彬に90度のお辞儀をするが、一彬がそれに倣うことはない。 「構いませんよ。華生の隣に座ればよろしいですかな」 「は、はい! 恐縮ですが……!」  担任は一彬より一回り以上歳上だが痩せ型で物腰低く、教師にしては頼りない。華生の目を通すと、体格がよく過剰に尊大な一彬とは立場が全く逆に見えて仕方がない。 「失礼します」  一彬が華生の隣りに腰を下ろすと、彼女のほおが桃色に染まった。
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