四章

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華生が自室で宿題をしている時分に鑑田から着信があり、彼女はシャープペンシルから手を離す。 「はい」 「華生さん? 俺だけど、今いいかな?」 「! はい、勿論」 華生がかしこまると、鑑田のクスクスと笑う声が聞こえる。 「どうかしました?」 「いや、華生さんは、いつも電話をすると緊張してるよね」 「そ、そうですか!?」 何故わかるんだろう。 「今正座してるでしょう、背筋ピンと伸ばして」 「そ、そんなことありません!」 多分、畳の上ならそうしているが。鑑田が「本当かなぁ」と揶揄い口調で問い詰めるので「本当です!」と強く肯定すると「わかったわかった」とまた喉を鳴らされた。 「ところで華生さん。来週華生さんの高校で文化祭があるよね?」 「あぁ、はい」 「楽しんで来てね」とでも言ってくれるのだろうか。 「それ、()ってもいいかな?」 華生が「え!?」と素っ頓狂な声を出す。 「か、鑑田さんが、来られるのですか?」 「迷惑?」 「迷惑じゃありません! ただ、ここからうちの高校は遠いですよ?」
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