四章

19/34
前へ
/264ページ
次へ
華生は鑑田を連れて校舎に入り、美術部の展示室に向かった。 「ふーん、俺美術はさっぱりわからないけれど、やっぱり上手いもんだね」 鑑田は美術部員の石膏像や写実的な絵画を見て感嘆の声を上げた。 「そうですよね、この水墨画とか良いですよね!」 「華生さんは和風の絵が好きなんだね」 鑑田は華生の傍らで優しく微笑む。そして少し悩んだ顔をした後、華生にそっと切り出した。 「ねぇ華生さん。今日は俺なんかといて良かったの? 友達に気を遣ったりとかしてない?」 華生はきっぱり首を横に振る。その表情は少し翳りがあった。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1332人が本棚に入れています
本棚に追加