四章

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ちょうどアルバムのトラックが一周した頃、鑑田の自宅の玄関が見えてくる。 「大きなお庭ですね、鑑田さんのお宅って」 会社の目と鼻の先にある鑑田の家は駐車場もその辺のスーパーの駐車場くらいの敷地面積を有している。 「お父様に挨拶をして帰ろうか、今日はお休みか?」 「いいえ、今日は仕事の筈です。セキュリティもあるから僕が一緒に行きましょう」 一彬が鑑田の会社の方の駐車場に入り器用にバック駐車をすると、鑑田を先頭に会社の裏口玄関に向かった。 鑑田が暗証番号を入力して自動ドアを開くと、すれ違う社員皆が一彬らに恭しく頭を下げる。 「社員がしっかりしているな」 「お陰様で」 鑑田は謙遜せずに微笑む。掃除のおばさんすらセーラー服を着た華生に向かって「ようこそいらっしゃいました」とお辞儀をするのだから一流会社は違う。
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