第4章 つかの間の日常

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その姿を見たシルビアは驚いた。 「姉上!」 女の人はシルビアをみるといきなり胸ぐらを掴んだ。 「あんたのせいよ!シルビア!あんたのせいで…」 シルビアの姉は掴んだ手を離して泣き崩れるように地べたにへたりこんだ。 藍人はシルビアの姉に手を差し伸べた。 「大丈夫ですか?」 シルビアの姉は藍人を睨みつけるようにして言った。 「あなたが元凶なのね…」 そう言い藍人の手を払い除け立ち上がると藍人の顔を覆い右手で藍人の頬を叩いた。 「ムカつく…」 藍人は衝撃で後ろの地面に倒れこんだ。 「痛い…冷たい…ザラザラする…」 「藍人!姉上何するんですか?!藍人は目が見えないんですよ!」 シルビアの姉はシルビアの言葉に耳を傾けず、ムスッとした顔で言った。 「目が見えなかろうが関係ないわ…あなたが奴隷契約を解いたことでお母様と兄上が代わりに連れて行かれたのよ!」 シルビアは驚いた表情を見せた。 「母上と兄上が?!」 藍人もそれを聞いて驚いた。 「シルビアのお母さんとお兄ちゃんが…」 「そうよ!そんなので冷静でいられる訳ないじゃない!こいつのせいで…シルビアあんたのせいで…」 シルビアの姉は拳を握りしめて堪えられない怒りをぶつけた。 藍人は壁を支えにしながら立ち上がった。 「助けよう…シルビア」 「あぁ…」 シルビアの姉はその言葉にびっくりしてオドオドし始めた。 「人のあなたがどうやって助けるわけ?」 すると、藍人は言った。 「それは今から考えるんです…僕にはシルビアがいますから…でも僕達の勝手で人を巻き込んでしまったのなら…それは僕達が解決しなくちゃいけないことなんですよ」 その言葉を聞いてシルビアの姉は言った。 「バカみたい…」 そう言いながら羽を広げ空に浮かんだ。 「人はそんなものです…違う人もいますけどね…僕は自分がされたことを人にしたくはないので…」 すると、シルビアの姉は手を組みながら言った。 「名前は?」 「友禅藍人…」 藍人が自己紹介すると手をシルビアの姉に向けた。 「私はアイリスだ」 名前を言ってアイリスは空へと消えた。 シルビアは空をみながら呟いた。 「姉上…」 藍人とシルビアは家の中に入りテーブルで話し合いを始めた。 「で?あんな大見栄を張ってどうするんだ?藍人?」 藍人は頭を抱えていた。 「どうしたらーいいんだよー!!」
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