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「あっ! ありました! ありましたよ、ユウリさん!」
『ほんと!?』
「はい。これですよね?」
それからほどなくして見つかった写真は、三年前、彼女が亡くなった際に唯一無事だったクローゼットの天井に開いた点検口から見つかった。配線にトラブルがあったときなどに業者の人がそこから入って点検、修理する、四角い入り口のことだ。
シャワー中の不運な事故死ということで、下の部屋のほうが被害が大きかった。二階のこの部屋のことだけで言えば、壁や床を張り替えるだけで済んだという。
彼女が言うには『ここに入って手を伸ばせば届く範囲に置いておいたの』ということだった。けれど当然三佳の身長では手が届かないので、いったん掃除用具が積まれた社用車に戻り、脚立を取ってきた三佳は、ヘルメットを被ってヘッドライトを付けマスクをし、軍手もはめるなどしっかり対策もしてから、いざ点検口へ頭を突っ込んだのだった。
ちなみに〝ユウリ〟とは霊の名前だ。相変わらず頭だけで漂う姿にはゾワゾワしたものを感じるけれど、元来の彼女の人柄もあって世間話にもそれなりに花が咲いた。
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