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だそうで、これまたなんとも複雑な家族関係が露呈しただけだった。
……となれば、三佳が代表して持っておくしかないのだろうか。
「な、なんで私に?」
『三佳に持っていてほしいからよ。これも何かの縁でしょう?』
そもそもの持っていてもらいたい理由を聞いて。
「……ただ普通に持っていればいいんですか?」
『そうよ。引き出しの奥にでも入れててくれたらいいわ』
「あの、すっごい失礼を承知で聞きますけど、呪ったり祟ったりしません?」
『あはは。できないわよ、そんなこと』
どんなふうに保管したらいいかや、不安要素の確認を取って。
「あとでこっそり、お寺で供養してもらうとかって……」
『バラしてどうするのよ。ていうか、もう写真はそれしか残ってないの。正真正銘、最後の一枚なのよ。だから、もし焼いて供養しようものなら――』
「ぎゃー、ごめんなさいっ。持ってます、私が持ちますからっ!」
『さすが三佳。そうこなくっちゃ』
「……」
若干祟られそうになりつつ、本当にただ持っておくだけでいいというお墨付きをもらった三佳は、渋々と。本当に渋々と、写真を作業着の胸ポケットに入れるほかなかった。
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