■0.これが事のはじまりなわけで

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 というか、昼間にも早坂から似たようなことを言われた気がするのだけれど、気のせいだろうか。違う意味で背中がゾワゾワし、三佳は思わず後ろを振り向く。  しかし当然、早坂がいるわけもなく、三佳は気づいてしまったかもしれない事実にそっと蓋をする。  もしかして私、度胸が据わってるんじゃなくて、ただ押しに弱いだけなんじゃ……?  そうでありたくない。絶対に、そうであってほしくはない。 『三佳……?』 「あ、いえ。なんでもありません。さ、脚立を片付けなきゃですね。屋根裏はともかくとして、普通に部屋の掃除もしちゃいます。ちょっと埃が溜まってますもんね」 『ええ、お願い。そもそも三佳は、そのために来たんですもんね』  心配して声をかけてくれたユウリに笑うと、三佳は脚立を担いだ。  ――けれど。 「え? なんで扉が……?」  さあ出よう、とそちらを向くと、いつの間にかクローゼットが閉まっていて、三佳はぎゅっと身を固くした。ヘッドライトの明かりだけが頼りだったし、何より扉が閉まる音なんて一つもしなかったので、一体いつから閉まっていたのかもわからない。
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