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「ユウリさんっ」
『……とうとう出やがったわね』
「ユ、ユウリさん、言葉遣いが乱暴に……いや、出たって何がですか?」
聞くべきはユウリのドスの効いた声や、男勝りな言葉遣いのことじゃない。〝何が〟である。
といっても、なんとなく予想がついてしまうのだけれど。きっとユウリとは無関係な、彼女が言うところの〝余計なもの〟が三佳たちを閉じ込めたのだ。
『何がって、三佳ならもうわかるでしょう? 余計なものよ、余計なもの。幽霊になってここに戻ってきたとき、どうしても写真を一目見たくてクローゼットの中を漂っていた私を閉じ込めたやつらでもあるわ。……きっと何か特別な力を使っているのね。すり抜けることもできないし、おそらく三佳も内側から力づくで開けたりもできないと思う』
すると、ご明察とばかりに、メデューサ的髪の毛を逆立てながらユウリが答える。
「それ、一巻の終わりじゃないですかっ!!」
『そうなのよ。だから、誰かが開けてくれるのを待つしかないわ』
「ち、ちなみにユウリさんはどれくらいかかったんですか?」
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