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――と。
『ギャァァァ!』
『く、来るなぁぁぁ!』
何やら外から聞くに堪えない声が響き、三佳とユウリは顔を見合わせた。すっかり忘れていたが、打ち解けても落ち窪んだ目は恐ろしく、三佳は口の中で小さく悲鳴をもらす。
という間に声が止み、部屋の中は不気味にしーんと静まり返る。
「……一体何があったんでしょうね、ユウリさ――うぎゃあぁっ!!」
そこにクローゼットの扉が開いたので、三佳はまたもや悲鳴を上げた。
いつの間にか閉じ込められていた際、ユウリから力づくでは開けられないとお墨付きまでもらっていただけに、びっくりするほどすんなり開いて思わず叫んでしまったのだ。
「まったく失礼な。助けに来たんじゃないですか、僕ですよ、僕。――早坂です」
「どこが!?」
しかしそうは言っても、これまで見てきたノーマルな人間の姿でもなければ、昼間に見せてもらった(見せられたとも言う)一見すると大きな犬にも見えるオオカミ姿でもなかったので、三佳は思いっきりツッコミを入れざるを得なかった。
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