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だって、緩やかなウェーブがかった漆黒色の髪。その頭に乗るのは、同じく漆黒色のシルクハット。の上にちょこんと生えた、銀色のピンと尖った耳。
胸元をざっくり開けて着ているのは、これも黒の着流しに、足元は素足に草履。お尻の部分から覗くのは、ふさふさの銀毛に包まれた長い尻尾――ハーフ&ハーフの姿なんて初めて見たのだ。
そりゃ、頭では早坂以外にあり得るわけがないとわかっていても、気持ちが追いつかない。
「そんなに思いっきり言わなくてもいいじゃないですか。それに僕、きちんと説明しましたよね? たいていは人間の姿に耳が生えたり尻尾が出たりといった具合だって。このタイミングで出てくるんです、そういう姿だって、すぐに察してほしいですよ」
すると早坂は、呆れたため息をつくと、そう言って肩を竦めた。
が、直後、目を眇めて三佳たちをじっとり見つめ、
「それより、あなたたちの異様なまでの仲睦まじさは何なんです? 僕というものがありながら、ひどいじゃないですか、野々原さん。……妬けますよ、ほんと。僕だってオオカミになればモフモフのふさふさです。抱き心地もこの上なく抜群だっていうのに、そんなのと抱き合うくらいなら、今すぐ僕の胸に飛び込んでいらっしゃい」
ただでさえ、ざっくり開いている着流しの胸元をさらに開き、両腕を広げた。
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