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「……は?」
『んまあ! なんて逞しい体!』
それについて、三佳とユウリの見解は大きく異なった。
いつの間に抱き合っていたのか(おそらくクローゼットの扉が開いた瞬間に思わず抱き寄せてしまったのだろう)、三佳の胸元にいるユウリはキャッキャとはしゃぎだし、三佳はしばし思考がフリーズした。
何を言い出すかと思えば、ただのヤキモチではないか。しかも、ずいぶん斜め方向の。
加えて対抗意識も燃やしているようである。でも、オオカミの姿のほうで対抗しようとしているところが、なんだか残念な人に見えてこなくもないから微妙に不憫だ。
だったらわざわざ脱がなくてもいいじゃないか。目のやり場に困るから、早く着てほしい。
「――そ、それより、さっきの聞くに堪えない声って……?」
とはいえ、三週間足らずで本音を言えるわけもなく、三佳は強引に話の矛先を変えた。それに早坂は、あわや就職浪人になろうかという三佳を救ってくれた恩人でもある。
この際、男性の裸にものすごい興奮を見せるユウリには、しばらく彼女の世界に浸っていてもらうことにして。まず、大まかでいいので、ここまでの状況が知りたかった。
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