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すると早坂は、三佳になかなか飛び込んできてもらえないことを若干不服そうにしながらも、着流しを元に戻しながら、さらさらと説明していく。
もちろん、代わりに飛び込んでいこうとするユウリに犬歯を剥いて威嚇するのも忘れない。
やはり半オオカミ姿になると、犬歯は人間のそれとは違って大きく、そして鋭い。鼻に縦じわまで寄せて話す早坂は、口調と表情の統制が大変なことになっている。
「はい。そうなってくれたらいいですね。私も本当にそう思います」
けれど、早坂の言葉がいちいち琴線に触れて、三佳の頬はいつの間にか、ふんわりと持ち上がっていた。
わざわざ脱いだりするからだよ、ていうか顔が怖いんだけど、と思わなくもないが、つまるところ、いくら〝掃除〟しても結局は双方にいい物件だと思ってもらえなければなんの意味もないのだから、早坂の言うとおりだと思うのだ。
なんだか恐怖を感じるたびに叫んでばかりいた気もするが、それでこのアパートにまた人が住むようになってくれたら、三佳だって叫び甲斐があったというものだろう。
……うーん、やっぱりちょっと苦しいか。
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