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とにかく、これで〝掃除〟は完了といったところだろう。あとは、つい今しがた祓われた〝もの〟たちと無関係だったユウリの安らかな成仏を待つばかりだ。
だってユウリは、被害者ならぬ被害霊だ。丸二年もクローゼットに閉じ込められ、コツコツ力をチャージしてやっと一目見たかった写真を見ることが叶った。その写真も三佳が保管する約束をしている。自然に成仏するまで待つのも、きっと悪くないだろう。
が。
また変な〝もの〟に閉じ込められたら元も子もないし、それまでの間、どこか安全な場所を探して保護してあげなきゃな、と思いはじめた矢先――。
「さあ、とっとと逝ってくださいね。野々原さんは僕のものです」
『あら残念。新しい自分に目覚めちゃいそうだったのに』
「え、ちょっ――ユユ、ユウリさん!?」
早坂のオッドアイが怪しく光ったのも一瞬、ユウリの姿は忽然と消えてしまった。
「どど、どういうことですか!? なな、なんで……!?」
どこを見回してもユウリの気配もなければ、いたことすら嘘だったかのように悲しい空気が清々しいものに変わっていることに驚きを隠せず早坂に問えば、彼は一言。
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