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「……すみません、所長。さっきは大きな声を出してしまったりして」
早坂の考えも知らず、思ったままを口にした自分が恥ずかしい。
きっと早坂は、ユウリがユウリでなくなってしまう前に彼女と知り合え、未練解消の手助けができたことを、まずよかったと思えと言いたいのだ。
だって、霊だのあやかしだの、ついさっき知ったようなものの三佳には、スペシャリストである早坂の分析や見解は絶対だ。びっくりするくらい憑かれやすいとはいっても、これまで自覚なしに生きてきたので、三佳には知識も何も、まるでないのだから。
「ああ、いいんですよ。説明もなしに消してしまった僕も大人げなかったので」
深く頭を下げると、早坂は何でもないことのように言って、笑った。その顔は、たとえ頭にケモ耳が生え、尻尾もふさふさであっても、やはりとんでもなく美しかった。
「――じゃあ、もう今日は帰りましょうか。夜もだいぶ深い時間になりましたし、野々原さんもお疲れでしょう。〝普通の〟掃除なら日を改めればいいだけです。明日は休養日としますから、心身ともに回復に努めてください。それが野々原さんの明日の仕事です」
「はい」
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