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そんなユウリを前にして三佳がただただ願うのは、彼女の魂が安らかであることだ。
でもきっと、早坂がどうにかしてくれただろう。彼は昨夜、悪霊になってしまったら跡形もなく滅するしかないと言った。その前だったのだから絶対に大丈夫だ。
「それにしても、とんでもないところに拾われちゃったな……」
独り言ち、三佳は苦笑をこぼす。
これも昔からのプチ不幸体質が災いしたのか、はたまた、功を奏したのか。
――ともかく、三佳が『早坂ハウスクリーニング』から逃げ出さないうちは、明日の生活もご飯の保証もあることだけは確かだ。気は進まないが、精魂続く限り〝お掃除物件〟に赴き、あのオオカミのあやかしと一緒に〝掃除〟をしていくしかなさそうである。
「さて。シャワー浴びて、なんか食べよ」
ぐーっと伸びをして、三佳はバスルームへ向かう。何事も食べなければ元気が出ない。早坂も言っていたじゃないか、今日は心身ともに回復に努めてくださいと。
その前に、まずは軽くシャワーだ。そういえばアパート内は終始寒気がするほどだったけれど、冷や汗なら、たぶん向こう三年ぶんくらいは確実に掻いたと思う。気持ち悪いほどではないにせよ、やっぱりリセットは必要だ。心も、それから体も。
「やっぱここはガッツリと肉系かなー」
三佳がシャワーを浴びながらフンフンと鼻歌混じりに口に出すのは、ちょうどタイミングよくギュルルと鳴った腹の虫に食べさせるブランチメニュー、オンリーだった。
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