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「――でもまあ、物件も掃除できましたし、彼の忘れ形見も無事、見つけることができました。それに野々原さんがたくさん集めてくれたおかげで僕のほうの仕事も片づけることができたんです。こう言っては怖がらせるだけかもしれませんが、それはもう、わんさかといった具合だったんですよ。それを一網打尽にできたんですから、やっぱり野々原さんは逸材なんです。僕も野々原さんも、それから未練を解消できた彼も、ついてますね」
すると早坂は、そう意味深に言ってオッドアイを細めた。どこかで聞いたようなその台詞は、忘れるわけもない、面接にやって来た三佳を一目見るなり言ったものである。
「あ、やっぱそういう……いえ、今はまだ〝ラッキー〟の意味に捉えておきます」
なんだか上手く丸め込まれたような気がしないでもないが、そして薄々気づいていないわけでもなかったが、三佳は、そこだけは断固、そう主張させてもらうことにする。
確かに三者三様に憑いてもいて、ツイてもいるだろう。でも三佳はまだ、ここがごくごく〝普通の〟ハウスクリーニング会社であってほしいとも切実に願っているのだ。
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