初恋フィギュアドール

2/6
前へ
/1340ページ
次へ
 一方、見つめられたイズミは照れくさそうに、足をモジモジさせていた。 「ねえ、お母さん」ミチルは島本さんに「今度は、私にイズミちゃんの服を選ばせて」と言った。もちろん島本さんはOKだ。そして、「それじゃ私は、イズミちゃんの服を選ぶのは卒業して、サツキさんの専任コーディネーターになろうかしら」と冗談ぽく言った。 「良かったな、イズミ。これからはミチルちゃんに服を選んでもらえるぞ」  僕がそう言うと、イズミは、「まるでワタシは、みなさんの着せ替え人形のようです」と照れたように言った。  そんなみんなに可愛がられる・・いや遊ばれている? イズミは、島本さん母娘が遊びに来た日の夜は、饒舌になり、サツキさんとその日の出来事を遅くまで話し込んでいる。  そんな風にして何の因果か、島本母娘と井村家は今でも交流を続けている。  そして、僕が島本さんの事を「草壁さん」と呼ばず、今も「島本さん」と呼んでいるのは、まだ島本さんの籍が草壁家に入っていないからだ。時を見て、結婚式をするらしい。  その席に僕もイズミやサツキさんも招待されている。
/1340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

169人が本棚に入れています
本棚に追加