初恋フィギュアドール

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 そんな事を思い出しながら僕はオープンテラスのメニューを見て、 「おっ、イズミ。ここにはレディグレイの紅茶があるぞ」と言った。  イズミは地面に届かない足をプラプラさせながら、喜びの意思を示し、「では、それをお願いします」と言った。  浅丘さんはイズミの様子を微笑ましく見ながら、「イズミさん、改めてお礼を言わせて」と言った。  イズミコクリと頷いた。おそらく照れくさいのだろう。足はプラプラさせたままだ。 「イズミさんが居なかったら、あの時、イズミさんが身を呈して私を守ってくれなかったら、私はもうこの世界にはいなかったかもしれないの」  浅丘さんが精一杯のお礼を言うとイズミは、 「ワタシはアサオカさんの為に頑張りました」とイズミらしい返事をして、「でもそれほど大したことはないのです」と言った。
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