AIフィギュアドール

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 おばさんは「な、中に誰か入っているの?」と声を震わせながら言った。  僕は観念して、 「じ、実は・・中には、女の子が・・」  じゃない・・フィギュアドールだけど。 「井村くん・・それって・・」  おばさんは僕の顔を直視した。  僕、何か変な事をいったか?   「もしかして、誘拐?」  えーっ・・そうじゃないんだって、 「ち、違うんです・・これは女の子が入っているだけで・・」  いや、僕の答え方がまずい。 「それ、誘拐、さらに監禁って言うのよ」  監禁! 「ちっ、違うんですよ。これは・・か、買ったんです!」  そうだ、これはただの通販の商品だ。 「買ったって・・女の子を買ったの?」  買う・・その言葉もまずいな。  おばさんは次々と出てくる怪しい言葉に面食らっているようだった。  その顔はまるで犯罪者でも見るかのようだった。  すると、 「はい、オバサン、私はただのショウヒンです」と声が聞こえた。  それはもう普通の女の子の声だった。  次第にフィギュアドールが人間の声を出すのに慣れてきたっていうことか?  おばさんはまだ疑っている様子なので、僕は宅配の納品書を見せて、 「これがその証拠です。これ、通販で買ったものなんです」  おばさんは一応目を通したが、まだ信じられないようなので、僕はフィギュアの説明書を見せた。
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