2 ミュート

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「大まかなミュートの知識についてこれから説明するが、足りない部分はラドルが補足してくれるだろう。まあ、ラドルに説明してもらってもいいんだが、ミュートのこととなると余計なことまでよく喋るんでな」  アーライルがラドルを見てにやりと笑った。ラドルは口をゆがめて、ふんと鼻を鳴らした。アーライルは二十一歳、それに対してラドルは三十代後半といったところだろう。どういう付き合いなのか分からないが、その会話からお互いに気心が知れているようにカイには感じられた。 「ミュートはほかの種族では忌み嫌われ、誕生したとしてもなかったことにされてしまうということについては、すでに知っているだろう」  カイとガラは黙って頷いた。 「我々スメクランにとっても、ミュートは忌むべき存在だ。もし生まれてもたいていの場合は殺してしまう。ただ、場合によってミュートを道具として使役することがある。この里では今見てきた『不死身』と『ナイトビジョン』がそうだ。とは言え、ミュートの中でも利用価値があるものはほんの一握りに過ぎない。大抵は手足の指の数が違うだけというような、単純な欠損や過剰があるものばかりなんだ。これらには利用価値はない」  ここまで言うと、アーライルは一息ついた。
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