11人が本棚に入れています
本棚に追加
私、長峰 沙織
飯塚 皐月
山本 颯真
3人は幼稚園からの幼馴染。
家も近いのでずっと一番仲が良くて、この春には3人とも同じ高校に進学した。
「『たっちゃん』は起きたか?」
「し、知らない!!」
その時、皐月の家のドアが開いた。
「ふぁ……眠……おはよー、『とーま』」
「おう、遅刻すんぞー」
「ほんとだ。起こしてくれてありがと、『たお』」
……その呼び方は、私達の合言葉のようなもの。
年少の時、3人ともさ行が上手く発音出来なくて、
さおり→たお
さつき→たっちゃん
そうま→とーま
と呼び合っていた。
大きくなるにつれて、自然と呼び方が変わったけど……
3人でいる時だけは、今でもたまーに昔の呼び方をする。
3人だけの秘密の合言葉みたいで、私は好きだった。
……だって学校に行けば、私だけの『たっちゃん』と『とーま』じゃなくなっちゃうから。
「飯塚くん、おはよ!何食べてるの?」
「パン。寝坊したから」
「あはは、なんか可愛いー」
「颯真!今日部活忘れないでね!」
「おう、多分な。笑」
「もう!呼びに行くから!」
いつもながら……誰かしら女の子が側に来る二人。
彼女らからすると私の存在はまるで空気……まぁこんなのはもう慣れっこ。
最初のコメントを投稿しよう!