あいことば

「さーつーきー」

名前を呼びながら、見慣れた階段を上っていく。

「起きてるー？」

扉をコンコンと叩いてみるけど、何の反応もない。
ため息をついて、扉を開けた。

……やっぱりまだ寝てる。

「さっちゃん！遅刻するよ！？」

布団の固まりを揺すっても大声を出しても、起き上がる気配はない。

最後の手段。
思いっきり布団を引っぺがして叫ぶ。

「たっちゃん！！起きろー！！！」

……そこには、トランクス姿の幼馴染の姿が……。

「きゃあーーーーーー！！なんで裸なのよ！？」
「んー……パンツ履いてるじゃん……」

やっと起き上がったさつき。

思わずトランクスの前の部分に目をやって……更に衝撃を受けた。
ピンとテントを張ったように盛り上がっている……これって……！

「きゃあああーーーー！！バカ『たっちゃん』！！！」

バタンと勢いよく扉を閉めて外に出た。
階段を駆け下りて玄関から飛び出すと……もう一人の幼馴染、そうまがいた。

「すっげー声だな。どうしたんだよ？」
「な…なんでもない……『とーま』……」

動揺のあまり呼び方がごっちゃになる。
その昔からの呼び方に『とーま』はニヤッと笑った。

「懐かしい呼び方だな……たお？」